私のご主人様は毎日多忙らしくて、いつも私に乗ってはいろんな所に出掛けている。

それはいいんだけど、あまり私に興味がないみたいで、休みの日にかまってくれる事なんてない。
どんどん私の機嫌が悪くなってるのだって気がつかない。
もう!後ろのライトは何ヶ月も前から点いていないし、当たり前のように蜘蛛の巣だらけ。
そろそろ気がついてもいいんじゃない?

そんな忙しいご主人様が仕事も終わってない朝に立ち寄った家。そこから小さな紙袋を持って私の後ろに乗せた。
軽いそれは私が右へ動くと右へ。左へ動くと左へ。


それから約一ヶ月

その紙袋は私の中で右や左へ転がることはあったけど、ご主人様の手元に行くことはなかった。


忘れられた紙袋

まるで私みたいじゃない?ううん、私と一緒。

いつかトランクの中にある紙袋を見つけて、ご主人様はこう言うんだ。


「忘れてたよ」


でも・・・

そろそろ気がついたほうがいいんじゃないかな。

紙袋に入った小さな小さな指が、そろそろいい具合に動き出しそう。


カサカサカサ カサカサカサ