私は買い物依存症


仕事のストレスが溜まってくると、街をうろつき、両手いっぱいの紙袋をもって家路につく。

最初は必要なものを買っていたのに、最近ではほとんど必要のないものばかり。それも数万円単位だ。

買うことによって気持ちが晴れ晴れとしてくる。

特に高価なお店にいたっては、まるでどこかのお姫様のような扱いをされ、私が一番だと誰もが頭を下げる。この快感は私の深いところをくすぐり、そしてまた、買う。


買って、買って、買って・・・。

そして家は必要のないものだらけであふれてくる。

たくさんの紙袋たち。

封も開けていない、商品たち。

増えてくるのはそれだけじゃない。私は普通の家の普通のOL。買い物をする為に一回手を出した借金が、もう自分ではわからないくらいこうしている間にも増え続けているのだ。


物と借金とそして、私。


必要とされてるものなんて、何もない。

私は荷物のない、ただ座ることだけを許された場所で、寝起きをし、食事をする。


今日、たまたま踏み込んだ所に、粘土が落ちていた。

なんでこんなところに粘土?

多分、わからない日々の中で購入してきたんだろう。

ぼんやりとした頭で、黄色の粘土を指で押す。


ムニュ


久々のやわらかい感触に懐かしさを感じ、一人で泣いた。


子どもの頃、私は粘土遊びが嫌いだった事を思い出す。

「陽ちゃん、こんなん、うさぎちゃうわ。変なの~」

幼い頃の、友達の残酷な一言。


冷たいソレをちぎって、こねて、形にする。


「・・・なんやこれ、変なの」


少し気持ちが晴れた気がして、うさぎだろうモノに微笑む。


明日、掃除をしよう。