人を綺麗にする人、美容師。
それが私の今の仕事。
もう何年も働いているので、お得意さまも増えてきてきているけど、雇われの身。
はじめは自分の店を持つ事が夢だったけど、もう今はこのままでいいかなと思っている。
人を綺麗にする仕事をしている私だが、もう一つ秘密の仕事の方が最近は主になってきている。
そのもう一つの仕事
「髪人形師」
この仕事を始めたのは、私がまだ美容師見習いの学生の頃だ。
その日も、こうしてお客がいなくなった美容院で最後の仕事、片付けをしていた。
多くの、もうどうする事の出来ない髪を集めながら、ふと手に取り息を吹きかけた。
するとどうだろう、その髪から、小さな小さな足がでて、手が出て、そして小人になった。
その小人はどうやら今日来たお客のミニチュアのようだった。
驚いた私は、とっさにその小人を落としてしまったが、弾力性があるようで、ぽーんと弾む。
ぽーんと弾み、私の目の前から消えていった。
しばらく呆然としていたが、もう一度奇跡を起こそうと髪を取り、息を吹きかける。
何度も起こったら奇跡といえるのだろうか、定かでないがその後、私が息を吹きかけた髪は全てが小人になる事がわかった。
何度もしていくうちに、いきを二度吹きかけると動き、もう一度かけるとしゃべる事を発見した。
私は誰もが嫌がる仕事を率先してやり、何百人もの髪を採取しては、小人を売る事を考えた。
もちろん、こんな話誰も信じないだろうから、まずはブログで紹介して、そこからメールをくれた人に売る事にした。
だんだんと噂が噂が呼んで、今じゃどっちが副職なのかわからないほどだ。
さ、こんなところです。
今日ここに来たことは秘密にしといてくださいね。
え?ここで小人を作るところを見て見たい?
申し訳ありません、それはできないんです。
本当は店に来ていただく事もタブーなんです。いつもは郵便でお願いしているので。
確かにここに、髪人形をいれていますので。
今、寝ているようで動きませんが、お湯に入れていただくと起きて話もします。
返品や交換は出来ませんので。
ありがとうございました。