昨日粗大ゴミの中にあったドアノブ

いつもなら、気になっても拾ったりしないのに、その日は違っていた。


仕事が終わって、そっと鞄の中を覗くと朝拾った「ドアノブ」がそこにあった。

ぎゅっと握ってみる。

ここでSFだとどこかにワープしていたりするんだろうな、なんて考える。そう、「不思議の国のアリス」のように。

実際は何事も起こらなくて、子どもっぽい考えに心の中で苦笑する。

そのドアノブを少し観察していると、ローマ字で「DREMN」と書かれてある。どこかの会社だろうか。

触っているうちに変な音が聞こえてきた。

ピー ピー 

その音はだんだん大きくなって・・・。

私は怖くなって、それを放り投げた。


茂みの中でまだ音は聞こえている。

私はさっきよりも少しだけ怖くなって、その場から逃げ出した。

誰にも見られてなかったよね。

もう忘れよう、どうせ捨ててあったものだ。


次の日の朝、どうなったか様子を見に行ったが捨てたはずの方向には何もなかった。





捨ててあっても物は拾うものじゃない。

今回、私が学んだ事だ。

あの日から、私の耳の中で耳鳴りがする。

ピー ピー ピー


いったいあのドアノブはなんだったんだろう。