テレビの上に置いた手紙
怒涛のような毎日に、飲み込まれないように、食われないように、踏ん張っていたこの一年三ヶ月
嫌気がさして辞めた会社
僕の部屋に置かれた何枚もの手紙
埃まみれの部屋の中で、早かった時間が静かに時を刻む
朝はこんなにもまぶしくて
こんなにも静かで
思わずこの世の中には自分一人なんじゃないかと感じたり
このまま、人知れず腐っていくんじゃないかなんて、今までには感じたこともないことを思ったり
窓を開けよう
すがすがしい朝が僕の部屋にも訪れるように
開け放とう
部屋が落ち着きを取り戻して、僕が埃まみれになる
「いたっ!」
左手の薬指から流れる血。久しぶりに血を見たな。なんて似つかわしい事を思い拾い上げた手紙には小さい字でしっかりと名前が書かれている。
山岡 宏様
誰からだろう、裏を見ても差出人の名前がない。
はさみを探したが、見つからず、中の手紙が破れないように思い切って手で破る
中には小さい字で「大丈夫。」と書かれていた。差出人に繋がる情報はない。
大丈夫、だいじょうぶ・・・・
いったい何が大丈夫なのか
だれがこれを書いたのか。
謎に満ちた手紙を見つめ、つぶやいてみる
「大丈夫」
不思議と胸がスッキリしてくるのを感じた。
大丈夫
僕はまだ生きている
僕はまだ死んでない
大丈夫
生きる価値は一つじゃない
大丈夫
僕にもできる