私には3歳年上の彼がいる。

今日はその彼の秘密を話そうと思う。

でも一応断っておくが、秘密だけど、秘密でないような秘密なので、秘密と言う言葉は間違っているかもしれない。(ややこしいな)


「彼の顔には ヒゲがある」


男だったら髭があるのが当たり前なんだけど、その髭とは違う ヒゲ。

猫やネズミに付いてる、ヒゲなのだ。


最初見たときはビックリして、思わず初対面にかかわらず、しげしげと見てしまった。

「何か付いてる?」

「・・・・。いえ・・・」

これが彼との初会話。

不思議なことに彼も気づいているみたいなのに、気にしていない。

もっと不思議なことは、周りの人間が騒がない事だ。

ある時共通の友人に聞いてみた、あれヒゲだよね?

友人はキョトンとして当たり前のように肯定した。


ねぇ、あれ?

私だけ?もしかして私にだけ見えるの?

あのヒゲがおいしそうな匂いがすると、ヒクヒクと動いたり、彼が落ち込むとヒゲもダランとしたり・・・。

ねぇ?見えてないの?

それとも、これが普通なの?


彼にも聞いてみたけれど、答えは友人と一緒。

しょうがないので、もう私は聞くことをやめて、ソレも彼の一部と受け入れることにした。


「私の彼にはヒゲがあります。でも、それは私にしか通じない秘密です。」



でも、ヒゲがあることで、彼の気持ちが手に取るようにわかるというメリットがある。

うん。ヒゲも悪くない。

今日の彼のひげは、表情と一緒で固まってる。

いつものようにジッと観察していると、彼が口を開いた。


「結婚、しよう?」

「はい」


あまりにも唐突で、「ご飯にしよう」「うん」と同じレベルの会話になってしまい、答えた私も聞いた彼もしばらくの間頭の中が無重力状態。

そのうちに見つめていたヒゲが波打つと、彼の見せるTOP3にはいるであろう、最高の笑顔でありがとうと微笑んだ。


彼とも、ヒゲとも、長いお付き合いになりそうです。