手を伸ばせばきっと届くsora

少し薄めの 細い糸


いつの頃からかずっと私のそばにあって、不思議なことに誰も見えない。

幼い頃は、親や友達に話しては、おかしい顔をされた。

そして「この子は変わってる」なんてレッテルを貼られる。


朝は朝日に輝いて

キラキラ光る 細い糸

夜は暗闇の中で

キラキラ光る 細い糸


いつか手を伸ばして届いた時

ギュッと下に引っ張ってみたい

上に何があるか

見て見たいんだ


でも、

もう15年経った今でも

その細い糸は私の近くにあって見えるけれど

一度も触れたことはない


ある時

夢の中でクマが出てきてこう言った。

「絶対に糸を引っ張るんじゃないよ」

引っ張りたくても、届かない。

届きそうで届かない。

その日から私は糸を引っ張ることだけに、集中した。

駄目だと言われると、どうしてもやってみたくなるのが人間の浅はかさ、愚かさ。


そして、とうとう触れることに成功した。

ほんのり暖かいソレは、触れるとなぜか懐かしさを感じた。

少しの躊躇とたくさんの好奇心。

グイッと引っ張るのに時間は要らなかった。

キラキラとまるで涙のように下りてくる糸。


音もなく落ちて

消えて

無くなった




それっきり



私は普通の人になった。

でも、時々私は思う、やっぱりクマの言うことを聞いておけば良かったと。


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