「これとこれ、どっちがいいですか?」

「う~ん…。こっちかなぁ。」

「じゃ、注文しますね。」



彼と出会ってもう数ヶ月。

4歳年上の彼。

わざわざ、ため口でいいよ。なんて言いたいけど、微妙だし。

初めからタメ口もなんだけど、微妙。

とにかく、2人の関係が、微妙。



きっかけは、普通に友達の紹介。

なんだか意気投合しちゃって、携帯とメルアドを交換。


  今度の土曜日、暇なら花火大会に一緒に行きませんか?


  うん、いいよ


  じゃぁ、駅の改札口出たところで待ち合わせていいかな?


  うん、いいよ。ニコニコ花火久しぶりだから、楽しみ音譜


  俺も楽しみ音譜近くになったらまた連絡するねにひひ


  は~~いドキドキ



花火大会が近づくにつれて、一日に一回はメールがくるようになって・・・。

やっと花火大会の日・・・。


「あ・・・今日、浴衣じゃないんですね」

「・・・うん。あ・・今度着てくるね」


しまった!失敗!?

まだ付き合ってもないし、浴衣だとメチャクチャ張り切ってるようだし・・・と思ってあえてカジュアルスタイルにしたんだけども。

でもしっかりと次回の約束をしちゃった私も私なんだけど。



今思えば初デートだった時の事を思い返しても、最初から最後まで敬語だったなぁ。

でも不思議なのが、その後彼から来るメールは、ほとんどがタメ口・・というか普通のメールだって事。

メールの方が言葉が素直にでてくるのかなぁ。

でもなんとかもっと仲良くなりたくて、本日作戦を実行しました!


「ねぇ、今日敬語厳禁ね」

「え?」

「だからぁ、ちょっとしたゲームって事で!」

「一日ですか?いいですよ。」

「おし!じゃぁ、今からね!」

「は・・・うん」


挑戦的に見た彼はかわいかったけど、そこから会話が続かない。

しょうがない、ここは映画の話で盛り上げようか!


「この映画、原作あるの知ってた?」

「うん。知ってるよ。○○さんだよね?糸ちゃん好きしゃなかった?」

「そうそう!すごく面白かったよ~原作。今度貸すから読んで~」


おし、おし。いい感じ。

初のタメ口にドギマギしながらも、何か不自然さを感じる。

なんだろ。


「疲れてない?お茶でもしようか?」

「うん!前に行ったおいしい紅茶の店に行こう~」


カフェに向いつつ、さっき感じた不自然さを追求してみる。

この一日タメ口で過ごせば、ちょっとは微妙な関係も溶ける気がするんだけどなぁ。

もしかしたら慣れてそのまま!なんて事も無きにしも非ずだし。

黙々と考えながら歩いてたら、いつの間にかお店に到着。


「糸ちゃん?入らないんですか?」

「ううん、入る・・・」


ん?なんだこのゾクゾク感は!

さっきまで感じてなかったゾクゾク感が!

あぁ!敬語に戻ってるよ、敬語に!


彼は負けたっていう顔をしたけど、そのままいつも通りの敬語に戻って話し始めた。


「もう、ゲームオーバーという事で。さ、今日はなに食べますか?」




気づいてしまった。

私は彼の敬語口調も好きだって事に。


本日の作戦、失敗。

ま、このままでもいいかっ!



***年下君とちょっといろいろ・・・だった頃、会ったら敬語でメールはタメ口でした(笑)まぁ、敬語って言ってもです、ます。。くらいだけども。ほんと微妙です(笑)漫画とか小説とかでは敬語口調に萌え萌えなんですが、実際はやっぱり砕けてる方がいいかなぁ。***