3.再会

彼にプロポーズを受け、私が恥ずかしそうにうなずく。
今日は最高の日になるはずだった。
なのに、彼の無神経さで彼のお母さんに付き合うのを反対されたと聞き、ショックを隠せない私
そんな先輩が信じられなくなった私
そして、もう会うはずはないと思っていた嫌なヤツに会うはめになろうとは。
矢田潤は以前あったときと同じように、何事もないように右の八重歯を見せて笑っていた。

「ねぇ、さっきの彼氏?」
あの暑い日に会った時の恐怖を思い出して、私は無言で立ち去ろうとした。
「あぁ~前のことは、謝るからさ、ねぇ」
うるさいわねっ!もう構わないでよ、あっちに行って!!
「ね、あれ、追いかけてくるよ?」
後を振り向くと確かに彼が追いかけてくるのが見えた。あの状況でも追いかけて来てくれたことに少し見直した。
きっと私はあの時点で彼のプライドをズタズタにしただろうから。
私はそのまま彼が走ってくるのを、時が止まったように見ていた。そして私の前に・・。

あの時はこの人が信じられずに、店を出て行ってしまったけど、本当はこの人もちゃんと私のこと考えてくれてたのかも。
「愛、どういうつもりだよ!!」
3年間付き合ってきたけど、ここまで怒った姿を見た事がないくらい、怒っているのがわかった。
その形相にあっけにとられ、言葉を失う。
深く長い沈黙を破ったのは、潤だった。