それ、笑いながら言うことですか??
今までの気持ちがサァーっと引いた気がした。
その後も話し続けていたが、まったく私の中には入ってこなかった。

先輩のお母さんが、「ダメだ」「別れなさい」と言った気持ちも少しは理解できる。
完治しているとはいえ、いつ再発するかわからないということなのか。
でも、それに対して先輩が私の弁護をしてくれなかった事実に愕然とした。
うそでもいい、「愛の悪口は言うな」とか「何があっても別れない」とか
「愛がもし末期の癌だとしても、好きだ」と言って欲しかった。
それって、ドラマの見すぎ???
私のわがまま???
あんなにかっこよくて、好きだと思っていた人が、ただのマザコンにしか見えないのはなんでなんだろう・・。

「・・・ねぇ、愛??聞いてる??」
「・・・は、はいっ」
「今日、大丈夫だよね?今夜、部屋とってるから」

食べようと思っていた多分、ストロベリー味のアイスはいつの間にか溶けてて、上に乗っていたハーブが悲しげに揺れている。
「すいません、私、もう帰ります」
「え!?」
ビックリしている先輩を感じながら、出口へと向う。

「愛、どうしたんだよ」
どうしたって、どうしたって…!!
そんな事もわからないの???
会計を済ませようとしていた先輩が、手を掴む。

「!!!生理なんです~~~!!」
レストランにいる人、ホテルの人が一斉にこっちを向くくらい大声で告げる。
そして、ブンと手を払って、そのまま出て行った。
会計で財布を落としそうになっている彼を後にして。


なんなのよ、なんでよ!
「ねぇ、ほんとに生理なんだ??」
「!違います!!」
まだかっかしていた私は横から聞こえる声に向って吼えた。
ああ・・・しまった・・・。
「す、すいません。ちょっと気が高ぶっていたものですから」
「へぇ~~」
「いいわよねぇ~~じゅんちゃん~」
ん??じゅん???じゅん……。
聞き覚えのある名前・・・。恐る恐る顔を上げてみる。
一番会いたくない顔がそこにあった。