夜9時―
いつものホテルのレストラン
こんなところを知っている、大人な彼が大好きだったりする。
今日は最高の日になりそうな予感。

ふと外を見ると年食った派手な女の人が、若い男の人と腕を組んで歩いてる。
顔は見えないけど、あれ、怪しそうだなぁ~なんて思っていると彼が来た。
「?どうした?」
「あぁ、なんでもないです」
げげ。。。怪しい女に思われたかしら??
「ごめんな、仕事が押して」
「いえ、気にしないでください」
3年間も付き合っているのに、今だに丁寧語になってしまう。
ぶってるわけじゃないんだけど、どうしても先輩と合わせようとして大人になりきれない私。
「で、どうだった?」
検査の結果を聞くと予想通りの反応で、やっぱりかっこいいとか、好きだなぁ~とか思ってしまう。
「じゃ、お祝いに、もう一回乾杯しようか」

「でね、お母さんたら~」
食事もおいしいし、ワインもおいしい、そして何より、ここに大好きな先輩がいる。
いつもより浮かれてた私。これで先輩が結婚話を持ち出してくれたら、二重丸なんだけどなぁ~。
デザートがきて、スプーンに手を伸ばそうとした時、先輩がなんでもないようにこう言った。
「愛、実は母さんに言ったんだ、愛の事」
いや~~ん!!先輩私の心見えてるの???
「…え?何をですか?」
見え見えのうそを言いながら、顔がにやけてくるのがわかる。で、で!?
「そろそろ身を固めろとか最近うるさく言ってくるんで、言ったんだ、昨日」
「昨日…ですか?」
じゃ、次はやっぱり、ご両親に会うとか、ご挨拶にくるとかそんな話になるわけよね!
きゃ~~!!何着ていこ~~~!!
いつでもOKですよ!!先輩!!
もうワクワクしながらその先に耳を傾ける。
「どんな子だってしつこいから、言ったんだよ。病気のことも」
え!?
「で、初めは喜んで聞いてたんだけど、急に「ダメだ」っていいだして」
…え??
「もう、病気は完治してるって、ちゃんといったんだよ?」
「……。」
「早く別れなさい、なんて言われちゃったよ。」
「…。」